2005年12月19日

思い出の三津駅。 〜松山にてその弐

今回の松山行き、ヤミーダンスを目的に出かけたわけだが、実はもう2、3おまけがあった。その一つ、三津でお友達やっているカフェでのランチ。
三津には思い出がある。一時期ギターを持ってよく通った場所で、そのまち自体とても大好きなところ。中でも、本当におんぼろだけど今はない「心の風景」的な懐かしさの溢れる三津駅は、本当に私の「心の風景」だった。

この春、三津にいるお友達から電話があった。あの三津駅がなくなるという。明治期にできたその駅舎は、あまりに古く、住民からも建て直しの声が上がっているという。でも三津で育ち、三津駅の見えるカフェを営むそのお友達は、なくなってしまうのをただただ見ているのはいやだと、署名活動を始めた。建て直しはほぼ決まっていたことで、署名をしても残る可能性はほぼないに等しかった。でも、本当に、何も考えずになくしてしまってもいいのですか?三津駅にはそこを使っていたそれぞれ人たちにそれぞれの風景があったのではないですか?そういう思いに同調し、普段署名に懐疑的な私も、少しだけ協力させてもらった。

ちょうど東京のブックギャラリーポポタムで高知遺産展をしたとき、高知関連本で絵金蔵の図録や「犬も歩けば赤岡町」なども置かせてもらっていたこともあり、トークイベントで上京する高知遺産のタケムラ氏に便乗し、ポポタムを訪れた。そのとき趣旨とちょっと違うだろうかと思いながらも、少しだけ置いて帰った署名を、ポポタムの方が三津のお友達へ届けてくれたそうだ。それが縁で『高知遺産』を買ったお友達。
そのお友達の想いもむなしく、三津駅は取り壊しが決定。その報告のお手紙には、三津駅に虹がかかっている写真が同封されていた。

今回の署名活動がきっかけで知った『高知遺産』。この本に自分の言いたかったことが詰まっているというお友達。少し前、なんとかしてタケムラ氏を呼びたい、そんな電話がかかってきた。
そんなわけでタケムラ氏と訪れた三津のカフェ。手作りのパン、手打ちのパスタ、すべて手作りのイタリアンランチのおもてなし。窓からは三津駅が見える。駅前には川があり、商店街にまっすぐ繋がる橋が架かっている。鳥がたくさん飛んでいる。橋から商店街にかけては車は通行止めで、人が自由に行き来する。通過する人、鳥を追っかる親子、橋からえさをやるおばちゃんに群がる鳥。橋のある駅前の風景。生活そのものである風景。

この風景に、駅舎が持つ圧倒的な存在感は間違いないのだけど、それを失ってしまうことの悲しさはある一部の人の想いで、ともするとエゴとも言えてしまうのかもしれない。使いよい、安全な駅、それを日常的に使う人々が望むなら、それが正しいのかもしれない。でも、大きな声の中で小さな声はかき消してしまうのではなく、大きな声が通る場合であっても、いつだって小さな声のその重みだけは、しっかりと感じれる世の中であってほしい。

タケムラ氏に会いたがっていた三津のお兄ちゃんたちにタケムラ氏を託し、私は三津を後にする。大好きな三津駅から電車に乗り、ごとごとと松山市駅まで。

posted by F at 13:54 | 高知 曇り | Comment(0) | TrackBack(0) |
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